もてき脳神経外科について

限りある命を全うするために

 2020年東京でオリンピック開催が決まりました。7年後に晴らしい目標が定まったことは、すばらしいことです。目標に向かってみなさん明るく生きていきましょう。さて日本人の平均寿命は女性86歳、男性80歳です。ということは、今までと同じように生活できる健康寿命は平均寿命マイナス10歳ですから、女性76歳、男性70歳となります。健康寿命を短くする要因としては、主に3つあります。第1にますます増えている認知症です。みなさん物忘れを心配しますが、老化と認知症による物忘れは違います。老化による物忘れは例えばひとの名前は忘れても知り合いということは覚えていて、すべてを忘れることはありません。ところが認知症による物忘れはおおむね全てを忘れています。また物忘れを心配して家族と一緒に来院した場合、家族より本人の方が深刻に心配している時は老化による物忘れであることが多く、家族の方が深刻に心配している場合は認知症のことが多いようです。第2に老化や骨粗鬆症により腰や膝の痛みがひどく、立てないとか歩けない、浴槽が跨げないといった運動機能の低下があります。第3は癌です。今日必ずしも癌は不治の病ではありません。癌になるということは不幸なことですが、脳卒中などと違って突然大変な状況になるわけではありません。年を取って癌になった場合、癌は残りの時間が計算できますので、癌と戦うというよりは共存する方策を考えることも大事かと思います。
  さて以上のような障害で健康が損なわれた場合、どの辺まで在宅生活ができるかと考えますと、認知症の場合は進行してトイレの場所がわからない、夕方以降落ち着かず徘徊や不穏状態が多い状態。運動機能の低下の場合は一人でトイレに行けない状態、要するに終日家族の手を煩わす状態です。癌の場合は終末期まで在宅生活を送れそうです。
  在宅生活が不可能となれば施設での生活となります。多くの介護者が関わり、多くの思いを共有する生活は、人生最後のステージにある意味理想的と思われます。 人は生まれてきたように死んでいきます。人生その時その時に最高の選択を私どもと一緒に考えましょう。

                                                           

院長  茂木 元喜